「理想の仕事」に対する想いは人それぞれで、やりがいや収入そして社会貢献など、様々なファクターが考えられます。その中で、自分が何を優先して職業を選ぶのかが重要になり、最近では「仲間と楽しく働けること」を挙げる人が多くなっています。このことから、仕事の面白さはさておき、先ず、人間関係を優先している傾向が見て取れます。理想の仕事は、時代背景に負う側面が多々あり、かつての石油ショック後の調査では、「健康で働けること」が最優先されていました。現在は労働市場のベースとしては安定しているので、人々は仕事に｢人生の理想」を求めるようになったわけです。即ち、若者を中心に、人生は仲間と楽しく過ごすもの、という考えが優先されており、仕事もその為の一つの手段として捉えていると言えます。「仲間と楽しく働ける仕事」が優先されるので、若い世代において、独立志向が薄くなっています。それは調査でも現れており、石油ショック後と比べて3分の1以下に低下しています。その理由として、「安定志向の高まり」や「お金だけではない感覚」、そして「人間関係を重視する姿勢」が挙げられますが、何れにせよ「仲間と楽しく過ごしたいから」に集約されるわけです。一方、会社の経営側としては、収入や責任、そして名声などを人事施策の動機づけにしていました。しかし、それが通用しなくなっているのは、全体の生産性の向上が見られないことからも明らかです。それでも、若者の意識変化に気づいた企業は、専門性に特化した人材育成に取り組んだり、社会貢献を仕事の動機に位置づけたりしています。